あたしは黒板の前で棒立ちになっていた。


恵一が何者かによって命を狙われた。


あたしはその巻き添えになったのだ。


その事実に全身が冷たくなっていくのを感じた。


「どうして恵一が命を狙われないといけなかったの?」


真弥の質問によって、我に返った。


そうだ。


どうして恵一は命を狙われたのだろう?


それがこの空間を作り出している原因かもしれなかった。


しかし恵一は青ざめたまま左右に首を振った。


「さっきも言ったけど誰かに殺したいほど怨まれるなんて、考えられない……」


そう言いながらも、恵一は必死で自分の行いを思い出している様子だ。


さっきから落ち着きなく教室を歩き回り、時折こめかみに手を当てて考え込んでいる。