そしてやってきたお昼休み。

依茉ちゃんは「たまにはひとりで自然と戯れながら優雅なランチタイムを過ごすよ」なんて言いながら中庭へと向かって行った。

しっかり、乙女ゲームアプリが開きっぱなしのスマホを片手に。

私が遥琉に会いに行くことで変に罪悪感を抱かないように気を使ってくれた依茉ちゃんの優しさに、本当にいい子だなと感じる。

私はというと……。

あいつのいるクラスへと向かわなければならない。

っていうか、なんで教室なんだろうか。

なんかもっと人目につかない場所とか選ばないかね、普通。

依茉ちゃんには、遥琉のことがまだ好きだと見破られてしまったけれど、正直、自分でも、このぐちゃぐちゃな気持ちがよくわからない。

好きだけど、今のチャラついた遥琉は嫌いだし。

ムカつくけど、ドキドキしちゃうし。

いろんな感情をいったりきたりしてる自分に、自分が一番呆れている。

とにかく、今、私ができることは、12万のスマホ代金のかわりに、あいつのパシリとなって働くこと。

「はぁ」

と軽くため息をついてから、重い腰を上げて、遥琉の教室へと向かった。