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話してる間、杏は黙って聞いていた

そして話終わったら、息ができないくらいの力で抱きしめられて「頑張ったな」
そう言ってくれた


そして俺は、杏の背中に手を回して、泣いた


久しぶりに話した
烈火でも幹部しか知らない話
もしかしたら、あいつらよりも、詳しく話したかもしれない

杏が黙って聞いてくれるからさ


「マセガキ泉のおかげで助かった」

「ほんまやな、可愛くない12歳やけど、かっこいいな」


そうだ。あの日から泉は俺の中で、ヒーローだから。
どんな奴らにも負けない、とてもかっこいい俺のお兄ちゃんみたいな存在


「本当にあの日、そのまま泉の家に連れて行かれて、ただただびっくりした。家はあんなんだし、周りのやつ怖いし。

でもな、良くしてくれたよ。4年くらいお世話になった。
泉の父ちゃんは、その頃からも仲悪くて全く会わなかったけど……
泉はずっと戦ってたよ」


そう。俺を迎えにきた時、泉が怪我していたのは、親父にやられたからだと言っていた。

後から聞いた話だけど