「ご入学おめでとうございます!」


校長先生が、体育館でマイク越しに言う。
今日は、中学校の入学式の日。周りは、小学校の時のメンバーが半数以上いるけれど、知らない顔触れも沢山いる。

目に入る人達は、大体どことなく落ち着きが無くて、緊張しているのだろうな、というのが分かる。私だって、当然ながらド緊張真っ最中だ。


式が終わって、それぞれ自分の教室へと移動する。同じ小学校だった同士で喋っている子が結構いて、想像以上に騒がしかった。席に着いても、まだ教室は静まらない。何となく居心地の悪さを感じながら、私はふと右隣を見た。

奥寺くん、か。

小学校の時はいなかった人だ。さっき、入学式の前に配られた名簿で、同じ苗字だなーと思ってはいたけれど、式の間は何だかんだ緊張していて、全然見てはいなかった。


よく見たら整った顔立ちで、カッコイイな。

それと、会話の内容から察するに、今日初めましての男子同士で仲良く喋っていて、明るくて魅力的…。





胸が、キュッとなった。
一目惚れ?
何でもいい。

ただ、恋の始まりを、1人静かに感じていた。