☆六花side☆

 次の日の朝。


「六花、おはよ。
 なになに? 話したいことって」


 頼りがいがある桃ちゃんに、
 一秒でも早く七星くんとの出来事を
 聞いて欲しくて、
 私はバス停で、
 桃ちゃんが来るのを待っていた。


「七星くんがね……
 昨日……家に来たの」


「え?え? 何それ?
 すごく気になるじゃん!その話!」


 桃ちゃんは、
 目を輝かせて私の腕にひっついてきた。


「何しに来た? あ! お弁当箱だ!」


「うん。
 お弁当箱を洗って、届けてくれたの」


「りっか~ それだけじゃないよね?」


 鋭い桃ちゃんの視線。


 隠し事はなしだよ!と、
 無言のメッセージを私に送っている。


「りっちゃんって呼んでもいい?って
 聞かれた」


「キャ~~~~!!!!」


 桃ちゃんは手を胸の前でブンブン振って、
 ウサギみたいに飛び跳ねている。


「ちょっと桃ちゃん、声大きい!」


「ごめん。ごめん。
 で? で? 
 他には? 何かなかったの?」


「苺ミルクをもらったんだけど……」


「あ、お礼もくれたんだね。
 でも、なんで苺ミルクにしたんだろうね。

 六花、学校でお茶ばっかり飲んでいるから
 苺ミルクを好きなイメージないし」


「実は……小学校の5年生の時に……
 苺ミルクを好きだって、勘違いされて……」


「小学校5年生って……
 もしかして……
 六花が七星くんを好きになった時?」


「う……うん」


 私は、桃ちゃんに話すことにした。


 七星くんへの片思いが始まった、
 あの日のことを……