「なんつー顔してんの?昨日何かあったの〜?」
朝からハイテンションな純太。
昨日の今日でこの態度、そっとしておく気はないのか。
「履き違えたか?」
クールな顔して平気でとどめを刺す宏介。
今朝も顔合わせた瞬間
「先に行くね」ってめちゃくちゃ早く出てったし。
作ってくれてた朝食、あんま喉通らなかった。
俺、どうすれば良かったの……?
重い足を引きずり学校に入る。
「末永くん、おはよう」って隣から女子の声。
見向きもしないで靴を履き替える。
「おーい、末永くん?え、初日からシカト??」
「あ、こいつ今、絶賛落ち込み中だから今日一日死んだ目してるよ?」と純太が助け舟を出してくれてる。
「理由は今は聞かないであげてね」ってやっぱ持つべきものは友達、か。
この前告白された学級委員こと桜井ひよりさん。
断ったつもりだけど伝わってなかったのか。
何というか……ガッツがあり過ぎる。
そもそも、何で俺?
自慢じゃないが今までモテた試しがない。
どちらかと言えばクラスでも目立たないグループに居るし、極力日の目にかからないよう生きてきたつもりだ。
現に純太も宏介も不思議がっている。
桜井さん、普通に可愛いのに。
「何で末永なの?」ってよく一緒に居る友達に聞かれてた。
その友達もモデル並みに可愛い子だ。
クラスの中で陰と陽みたいな感じで対照的な俺たちなのに。
「えーっと、見ちゃったんだよね…」
え…!?何を!?
とっさに隠れて盗み聞きしてしまう。
いけないことをしているみたいで胸のドキドキが治まらない。