心霊研究部の活動は本当に地味だった。毎日部室に集まり、わたしたちは答えのない議論を毎日交わすだけだった。ようはおしゃべりしてお茶を飲むだけ。

そもそも幽霊が成仏するのかって、定義した時点でわたしたちは答えのない議論にずっぽりとはまってしまっている。

「香りさんに聞いて何もわからないんだと、本当にお手上げになってしまうわね」

黒川さんが新しく揃えたティーカップを一口すすって言った。

「ほんとだよな。香りがもっとくわしかったらな」

姫ちゃんが両手で後ろ頭を抱え椅子に持たれかかった。

「そもそも香りさんの未練がわからないとなにもやりようがないな」

早見君がわたしに視線を向けて言った。

わたしは香りさんの言う言葉をそのまま伝える。

「だって仕方ないだろう、未練って言われても、すぐに思いつくような事がないんだから」

香りさんがそう言うのでわたしはそのまま伝える。

「思いつくことがないなんてしあわせね、わたしならあそこのスイーツ食べてないとか、些細な事でも未練になりそうなものだけれど」

黒川さんの発言にみんなどんぴきだよ。些細も些細すぎて何も言えない。だけど黒川さんは甘いもの好きなんだって事は、みんなに伝わったと思うよ。