六畳間の部屋。右隅にベッドが置いてあり、左隅に勉強机。その勉強机の椅子に腰掛けている姫子は大きな目をこれでもかというほど大きくして驚いた表情をした。

「本気で言ってんかよ、そんなバカな話を信じろって言われてもな」

わたしの言ってる事が信じられなくて呆れたように姫ちゃんは言った。わたしは香りさんとの出会いを簡単に説明したのだ。

「そんな呆れたように言わないでよ、冗談じゃないんだから」

「じゃあ、何か、今も、その香りさんって幽霊?がわたしの家にいるってことか?」

「そうだよ、わたしの隣りに正座の格好で浮いてるよ」

姫ちゃんは目を手で覆った。

「そうか、わかった、千鳥、とにかく帰れ」

姫ちゃんにそう言われて、わたしは姫ちゃんの足にしがみついた。

「そんなこと言わないでよ、姫ちゃんが聞いたんじゃない、誰と話しているのかって。」

「それはそうだが、まさか幽霊とは思わんだろう。」