姫ちゃんに連れられてわたしは教室に入った。クラスは一組だった。五階建て校舎の二階。校舎の玄関から入って一番奥の教室だった。廊下ですれ違う生徒は同級生だけど、みんな大人ぽい。自由な校風だから、髪を染めても怒られない。流石に悪目立ちするような髪色は軽く注意されるようだけれど、それをいちいち聞く生徒はいないみたい。

人を見た目で判断しないというのがここの理事長の格言らしい。というよりここの理事長がオシャレ好きというのが真相らしい。

それにしても香水臭いな。女生徒だけじゃなくて男子生徒も香水つけてるよ。

「千鳥、わたし、いい男いないかみてくるな」

目を輝かせて香りさんが言うのでわたしはどうぞっと言わんばかりに手をふり見送った。