詩優side



今日は花莉の退院の日
だったんだけど……。花莉は朝から38度を超える熱を出した。



医者にみてもらった結果、



「A型インフルエンザだね」



と言われてしまった。



「……退院、できないんですか…?」



弱々しく言ったのはベッドの上に大人しく座って、涙目になっている花莉。
花莉は入院中、「早く帰りたい」と1日3回以上は言っていた。よほど早く帰りたかったんだろう。




「腹部の傷は完治してるから退院しても大丈夫だよ。大事をとって退院の日を先送りしてもいいけど、どうする?」




医者の言葉に花莉は
「退院します」と即答。




「ほんとに大丈夫か?」




ちらりと花莉を見れば、彼女は口元を手でおさえて「…大人しくするから」少しくぐもった声で答える。
花莉の目が涙目で、なんだか寂しそうだったから




「…わかった」




と答えた俺。