大学生の宇佐美（うさみ）ニナは、日曜日の朝に誰かからかけられた電話で目を覚ます。

「う〜ん……」

時計を見ると、もう十時だ。ニナは大きくあくびをする。昨日は夜遅くまでドラマを見ていたため、すっかり寝過ごしてしまった。

「誰から……？」

スマホに表示されている名前を見て、ぼんやりしていたニナの頭はすっかり目を覚ます。目はパッチリと開き、胸はキュンと高鳴った。

「もしもし」

ニナが電話に出ると、「ニナ、おはよう」と優しげな声が返ってくる。ニナは微笑みながら「どうしたの？」と訊ねた。

「今から会えない？ニナに話があって……」

その言葉に、ニナは「大丈夫だよ！」と大きく頷く。そしてすぐに支度を始めた。

胸が高鳴って、止まない。ニナは精一杯おめかしをし、お気に入りの青いかばんを手に家を出た。



ニナが待ち合わせ場所へ行くと、すでに相手は待っていた。多くの人の視線を集めている。

その人は日本人ではない。明るい寒色の色の髪を風に揺らし、青いチェスターコートにおしゃれなジャケットを着て、声をかけることを躊躇ってしまうほど華やかな顔立ちの男性だ。