理叶はすぐ出て行くのかと思ったけど、もう一度わたしと視線を合わせた。



「壱華、無理はすんなよ。辛いときは俺に頼ってくれ」



眉を下げて口にした言葉には、優しさが感じられた。



「……ありがとう」



でも肯定はできないからお礼だけを告げた。


裏切られてばかりの人生だから、人を頼ることには抵抗がある。



「ああ、じゃあな。また会いに来るから」

「うん、さよなら」

「相川、たぶん誰も来ないとは思うけど、少しの間店番頼むな」

「はい、了解です」



理叶に別れを告げて、オーナーの指示を受ける。



「じゃあね理叶、俺は壱華ちゃんと引き続き楽しくお話しておくから〜」

「……チッ」



最後におちゃらけた光冴に舌打ちをして、理叶は扉の奥に消えた。