あっ、と思ったときにはもう、まっさらなシーツの上に押し倒されて、獲物に食らいつくように唇を塞がれた。


わたしは胸を叩いて快楽に溺れまいと抗おうとする。


だけど結局、絡み合っていた舌を離されたときには、理性なんて首の皮一枚。



「だめ……昨日もしたのに!」

「あれっぽちで俺が満足すると思うか?」

「いや。そんな気じゃないから」

「あ?俺がその気にさせるんだよ」



気づけば服ははだけていて、脱がせようとする志勇の手を押さえても、対抗しても逃げられない。


いや、逃げられないんじゃない。志勇はその選択肢を与えてくれないんだ。


狼は欲を満たすまで、逃げることは決して許してはくれない。



「壱華」



吐息まじりにわたしを呼び続ける志勇。気づいたときにはいつもそう。溺れるだけの悦楽の中。


初めて抱かれたあの日から、何度志勇と体を重ねたのだろうか。


その回数すら分からないほど熱い夜を過ごした。体は、心は、抱かれることの歓びに堕落していった。


だから、なのか。相手の小さな異変をお互いが感じ取れるようになった。






「俺のそばにいろよ?」






放たれたのは重い言の葉。


切実な問いに胸が痛んだ。