「あ?誰もてめえなんか呼んでねえんだよ。さっさと帰れ」

「帰りませーん。上から通達があったんで来たんですけれど」

「じゃあ用件を言って早く帰れ」

「ええ、さっさと伝えたいところですが、ここでは言えない話です。場所を移していただきませんか」

「あ?その喋り方腹立つからやめろ」


 さっさと追い返そうとしたが、珍しく余裕がなく真剣な目をしているものだから気になった。


「大切な話です」

「……チッ」


 仕事の話か、仕方ねえ。


「悪いな、待ってろ」

「大丈夫。ゆっくりでいいよ」



 笑顔で手をひらひらする壱華に背を向け俺は病室を出た。