【フィンリューク】



アリスにしばらく来ないで欲しいと言われた。



何様なのだ、アイツは。



だけど、アリスの初めての『意思』は受け取らせてもらった。



俺は見守りに徹する。



「もし、証拠や自白があった場合は?」

「殿下の身を脅かす存在と認定し、処罰されますね」

「それでは俺の統率力が疑われそうなのだが」

「あなた、あの人数しかいないのに統率できてます?」

「でき、てないかもしれないが…。だから女は嫌いなのだ‼︎」

「後宮なんてつくるからでしょう…。被害に遭われたアリス様が待てと言ったのなら、ワンコのように待ってみればいい」

「アレンが選んで連れてきたのではないか‼︎」

「それでいいと、最終判断を下したのはあなたでしょう、フィンリューク」



妃の最高管理は宰相であるアレンの仕事。



ワンコって、なんだよ。



俺はこんなに腹が立っているのに。



噛まれた指がズキっと痛む。



相当強く噛まれたようだが、これは俺が招いたこと。



俺も一緒に痛みをわけられなければ気が済まない。