【フィンリューク】



アリスの部屋のものに毒を仕込んだのは、リタだ。



わかっているが、追い出せないので監視をつけた。



メイドを入れ替えて、見張らせている。



初めからこうすればよかったな。



リタは家から連れてきたメイドだったので、きっとメイドの仕業。



とてもバカにされた気分なので、リタの元へは行かないことにした。



「リューク、後宮はどう?」

「女の陰謀渦巻く魔の巣窟と言えばいいのでしょうかね。確実に失敗しました。ひとりだけ選んで正妃に迎えればよかったと思ってます」

「気づくのが遅いわ」

「ですね…」

「リュークはどなたを選ぶのかしら。楽しみだわ」



のんきな母上と、午後のティータイム。



なにやら相談があるとかで呼び出された。



「それで、相談とは?」

「ないわ。お父様がリュークの体を心配していたから、癒そうと思っただけよ」



騙された…。



俺の母上は他にはない魔法の使い手。



最上級の治癒というべきか、瀕死でも回復させられるほど強力な治癒魔法を持っている。



両手を包み、最高に気持ちの良い癒しの魔法をかけられた。