【フィンリューク】



父上の元へ戻ってからは執務が主だ。



外へ出ることはほとんどなく、いろいろな国から上がってきたものにハンコを押したり、却下したり。



それぞれの国から来た重役や王族と会議もよく開く。



今日も会議で、父上が偉くご立腹だ。



「リューク、俺はなんと言った?」

「失礼を承知で、陛下のお考えはいかがなものかと」

「なんだと?私に意見するのか」

「父上だろうと、自分の考えを曲げる気はありません」

「では、お前の無謀で浅い考えを聞いてやろうではないか。聞いたところで、だからなんだと突き返してやるがな」



ビクビクしている他国の重役たち。



俺と父上の議論なんか、よく繰り広げられている。



叔父上と、父上が俺に投げつけた書類を無言で拾うジェードくらいが、呆れている。



昔なら妹が差し入れでも持って来る頃だが、その妹は他国へ嫁いだ。



なので、父上の機嫌を治せる者が母上くらいしかいないのである。