【フィンリューク】



アリスはよくわからない。



今まで見てきた女と、アリスが別物のように感じるのはなぜなのか。



こういう女もいるのかと、不思議に思う。



「美人のねーちゃんだ。と、言ってますね」

「えっ?ジェードさんって動物の言葉がわかるのですか⁉︎」

「えぇ、まぁ。この馬、ゼジルは殿下しか乗せないのですよ」

「それなのに私も乗せてくれたの?とても嬉しい」

「…………照れてますよ」

「お馬さんも照れるのね‼︎」

「オスですから、コイツ。ちなみに、美しい俺には美しいものしか似合わないのだそうです…」



馬が見たいと言ったアリスを、厩舎に連れてきた。



俺の馬を撫でながら、ジェードに通訳してもらっていて、とても楽しそうにしている。



「乗るか?」

「乗りたいですっ‼︎」

「ゼジル、乗せてくれ」



どうやら、馬が気に入ったようだ。



あの時、俺の部屋に来たアリスは、ものすごく泣いた。



止まらない涙を止めようと思ったが、泣き続けて…泣き疲れて眠ったのだ。



なぜか心が痛かった。



俺が泣かせたのだと、そう思った。