メガネの先輩の安全運転と、烈司さんの秘密の近道情報+カーナビのおかげで、問題なくお店を見つけることができた。



「あれかっ!?」

「みたいですねぇー・・・」



車内からお店の外観をチェックしながら言う瑞希お兄ちゃん。

その目はとても厳しく、『吟味(ぎんみ)』と呼ぶにふさわしいお姿。



(大人の男の色気、増し増しですわ♪)



惚れ直しちゃいました♪きゃ♪



〔★凛の気のゆるみも、増し増しだ★〕



「よし・・・伊織、烈司のナビで駐車場に車を止めてきてくれ。」



そう宣言すると、車が車道にある状態でドアを開ける瑞希お兄ちゃん。



「危ないですよ、瑞希お兄ちゃん!」

(いくらゆっくりと徐行で走ってるとはいえ、愛しいお方にお怪我でもあったらいけない!)



そんな思いでお声がけしたら―――



ガシッ!?

「え?」



瑞希お兄ちゃんにつままれた。



「わりぃが俺らは、先行く!」

「えっ?」



私を捕まえるなり、脇にしっかりと抱え込む瑞希お兄ちゃん。



(俺らって・・・え??)



「えー!?ずっるーい!凛ちゃんまで連れてくことないじゃないのよぉ~!」

「わはははははは!!今夜はせっかちだなぁー!瑞希兄ちゃんよぉー!?」



モニカちゃんの抗議も、百鬼の冷やかしも無視して、私を小脇に抱えた状態で、瑞希お兄ちゃんはヒラリと車から舞い降りた。



「瑞希!モニカと皇助の意見を否定する気はないが、これ以上は先走るなよ?」

「そうそう!俺らが行くまで、店には入るなよ~?」

「わーってるよ!伊織、烈司!凛と店の前で、待ってるからよ。」



運転席と助手席から注意する先輩2人にそう言うと、私をつまんだままお店へと続く歩道を進む。



「お、お兄ちゃん・・・!?」



目だけで瑞希お兄ちゃんを見たのだけど、先ほどとは一変していてムスッとしてる。

まるで、ご機嫌斜めの子供みたいな感じで・・・



(ギャップ萌え~~~~!!いゃあーん♪)



好き!そんなところも、大好き!!

これ以上私をドキドキさせて、どうしようと言うのですかぁ!?



〔★凛の受け止め方が、どうしよう!?だ★〕