朝が来る前に帰還する。

1人も欠けることなく、夏休み最後の集会は終了した。


「凛、お疲れ。」


そんな僕の帰りを待っていてくれていたお方が、冷たく冷えたカップを差し出してくださった。


「ありがとうございます、瑞希お兄ちゃん。」


幸せいっぱいでお礼を言えば、笑顔で彼は僕の頭を撫でてくれた。

凛道蓮(りんどうれん)、15歳。

カテゴリーは『ヤンキー』の龍星軍4代目総長。

ただ今、爆走りの集会を終えて、無事に帰ってきたところです。

一介のキッチンカウンターの定位置の席で、用意された『カッフェ・ドルゾ』を飲みながら一息ついています。


「いただきまーす♪」

「おう、飲め飲め!」


そう言って、僕をねぎらって下さるのは真田瑞希さん、20歳(はたち)。

バリスタ見習いの可愛い系の素敵なお兄さんで、僕の大好きなお方♪

彼が作ってくれたドリンクは極上です。


「甘くて美味しい~!」

「ハハハ!そりゃあ、よかった。」


瑞希お兄ちゃんは優しくて、面倒見が良くて、ちょっと天然。

しかし、穏やかな見た目に反して、実はめちゃくちゃ強い人。

なぜなら、僕が総長を務める龍星軍を作った人物で、初代総長だったんです。


「バラさんどうだったよ?」

「いました。いつも通りでした。」

「病み上がりとはいえ、しつこく凛を追うと思ったんだけどな~正直、帰りはもっと遅いと思ってたぜ?」

「他の暴走族も集会していたので、そちらに行ってしまいました。」

「あん?龍星軍を無視して行ったっていうのか?」

「違うっすよ~他の族を利用したんす。」

「高千穂。」


そう言ったのは、同じように休憩しているヤンキーガール。

同じチームの友達、高千穂カンナさんだ。

僕が率いている現役メンバーの中で、紅一点の唯一の女子。

親衛隊長として、漢と互角以上にわたり合えるハンサムガール。


グビッと、オレンジジュースを飲んでから言った。