連れていかれたのは、藤堂家の本館だった。

響が住んでいるのは別館だから初めて来た。

「芹沢さん、響の生活はどうかな?」

「……嫌気が差すこともありますけど、優しいところもあるって分かってきました」

それに……。

「………響の意外な一面も見えましたし」

正直に話すと、お父さんは笑っていた。

「ところで実際はどこまで進んだのかな?」

「別に何も……」

「言った方が身のためだと思うよ?」

やっぱり響のお父さんだ。

「………一緒に寝たり、このシャツを貸してくれたりしたぐらいです」

「おお!響、やるなぁ」

お父さんは感心したように頷いた。

少し思ったんだけど、お父さん的には庶民とくっつくのって良くないことだよね?

「……あの、もし万が一、あたしが響と付き合ったらどうします?」

どうなるんだろ。

「もちろん許すつもりだよ!恋愛は自由だからね」

いい人!

って、付き合わないけど。

なんで響はお父さんのこと、苦手なんだろ。