「う……っ……」



「しゅんくんっ!あさですよ!あそぼう!」



 元気な声と共に、いきなり腹へ何かが圧し掛かってきた。


 その衝撃は手負いの俺には耐え難く、激痛に脂汗が滲み、呻いた。



「あかりっ!ダメでしょ!?俊君、怪我してるのよっ!大丈夫、俊君!?」



「ほっとけよ。あかり、俊お兄ちゃんにたくさん遊んでもらえ」



 苦痛に耐え、うっすらと目を開けるとオロオロする佳苗とあかり。


 そして、俺を冷ややかな目で見る仁。



「まったく。人の家のソファーを陣取るとは厚かましい振られ猿め」



 やっぱり、佳苗の言うように仁が俺と水野を応援していたようにはとても思えない。


 佳苗の惚れた欲目で何でも仁が優しく見えるようになっているのだ。













「しゅんくん。おかおが、むらさきいも!むらさきいもぱんまん!いたい?」



「あ、あかり!何て、あかりは発想力が豊かなんだ。そ、そうだな。紫芋パンマン。目が腫れたブサイクな紫芋パンマンだな」



 仁は、あかりを膝の上に乗せて、ケラケラと楽しそうに笑う。


 昨日は血をダラダラ流し、服も血と泥で汚れ、あかりも仰天していたが、今日はアンパン顔ヒーローのお友達に見えるらしい。