イギリス、ロンドンにあるベーカー街221Bに私、胡桃沢和香（くるみざわわか）は住んでいる。あの有名な探偵の子孫と同居してるんだ。

「ワトソン先生、おはようございます」

朝ご飯を作り終えた頃、私の働いている診療所の医者であるジョン・H・ワトソン先生がリビングにやって来た。

「和香、おはよう」

ワトソン先生はニコリと笑う。そして、紅茶を入れてくれた。

「ホームズさんがまだ起きてこないのは珍しいですね」

「昨日は夜中まで調査してたみたいだよ」

もう一人の同居人は先祖と同じ名探偵。名前は、シャーロック・ホームズ。私も助けられたことがあるんだ。

「新聞、取ってきますね」

「お願いします！」

家のドアを開け、私はポストから新聞を取り出す。すると、手紙が入っていることに気付いた。

「ホームズさん宛て……」

捜査の協力を依頼するロンドン警視庁の警部からだと思ったけど、レストレード警部でもグレッグソン警部からでもなかった。