理事長室を出て、舜先輩が案内してくれるままあとをついていく。

 ちらりと舜先輩の横顔を見つめながら、ふと思った。



「先輩って、彼女とか好きな人はいないんですか?」



 さっき、女の子を名前で呼ぶことが珍しいみたいな言い方してたけど……舜先輩くらいのキレイな人なら、彼女のひとりやふたり……って、ふたりはダメか。



「……恋人はいない。……けど、ずっと気になっている奴はいる」



 え?

 舜先輩が、片想い……?

 こ、こんなにキレイな人がっ……! すごくモテそうなのに……!



「舜先輩なら、きっと相手の子もすぐに振り向いてくれると思いますよ」



 小さくガッツポーズをして、本心を言った。

 けれど、舜先輩は一瞬、苦しそうに顔を歪めて、口を開いた。



「いや、そいつには今付き合ってる奴がいるんだ」



 ……っ。