――…上った朝日が、すべて本当だと証拠付けていた。



「この部分の筆者の考えを論じなさいと聞かれたときには、前述の文章を見てみると分かりやすいですね――…」



昨日家に帰ると、伊織の姿も荷物も無かった。

毎日当たり前のように、ふたりだったから。

ひとりがこんなに寂しいなんてもう忘れていた。


…それから伊織の家のインターホンを押しても、出てくることはなくて

携帯に連絡を入れて返ってくることもなかった。



――…当然だ。

大嫌いと言って、走り回って見つけたわたしは高見くんに慰めてもらっていて

果ては、他人のふりをして。


約束を守るためとはいえ、伊織を傷つけてしまったことに変わりはない。