「紗和ちゃん!放送で呼ばれてたけど何かあったの?」 「茶道部の先生が退院してね、学校に来てくれてたの」 「そうなんだ、良かったねっ」 「うん。お元気そうだった」 ちゃんと笑えていたのか、分からなかった。 …横田先生に会えたのに。 今だってひなが駆け寄って来てくれたのに。 何事も無かったかのように、伊織が教室という同じ空間に居ることが 辛くて苦しくてたまらなかった。 「ひなー、ちょっと来て―」 「あ、はーいっ」