「すごい!」

先輩が私の作ったご飯を見て声をあげる。

「どうなってんだ?これ。」

私が用意したのはごくごく普通の家庭料理。先輩が食べたがっていた鍋や煮物やお浸しなどを用意した。

ただ、誕生日だから大根とニンジンをすりおろして今はやりのキャラクターを形どってみた。

先輩は携帯電話を持ち出して何枚も写真を撮っている。

「すっごい嬉しい。こういうのがよかったんだ。」
その言葉はきっと本心だと思う。

家庭というものに先輩は誰よりもあこがれていたんじゃないかと思った。
前もって鍋を買ってまで用意していたのは”家族のごはん”だからじゃないかと私は思った。