「おいっ…」
そう言った彼はいつになく、焦っているように見えた。
「チョン…しゃちょ、、」
薄れてゆく意識の中、彼の声が脳内に響いた。

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チョン社長は社内でも有名で容姿端麗で頭が良い。そして何より優しいのだ。いや、正確に言えば優しい、ふりをしているのだ。
今日だって、、地獄の一日がスタートする。
、、、、
「今日の予定は?」
そう言いながらネクタイを緩める彼は少し、疲れているように見えた。
「会食が19時より行われます。…社長」
そう呼ぶと顔を上げる社長。
「あまり、無理をなさらないでくださいね、、体壊しますよ。」
ちょっとだけ勇気を出した言葉。
素直に受け止めればいいのに、、、

「お前には分からないだろ。」

なんとなく分かってだけど少しだけ傷ついた。…もう、気にしたくないけど。
なったばかりの時、ビックリした。あの優しいチョン社長の秘書だ!って。でも、今じゃ職場に行くのもやなくらい。
それでも、辞められないのだ。
なんでかって?
それは、、、、、
「いいのか?言っても。」
「わっ!やめてくださいっ!分かってますから…」
そう、私は脅されている。
理由はまだ、言えないけれど。




「はぁぁぁぁぁっ…」
今日は社長室で社長の会議が終わるまで待機。
1人残る社長室は静かで広く感じる。まぁ、実際広いのだが。

コンコン

ドアのガラス越しにうっすらとした影が写っていてハッとする。
テヒョンさん、、だ。