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あれは、まだわたしが8歳の頃。


わたし白花芙結(しらはな ふゆ)には、とても大好きな男の子がいた。


まるで本物の王子様のように、素敵でかっこよくて。

いつもにこにこ笑っていて、わたしのお願いをなんでも聞いてくれる。

怒ったことなんて一度もない。


わたしはよく、その男の子の家に遊びに行っていた。


小さい頃は遊ぶ場所が限られていて、たまたま男の子の家の門が開いていたので、わたしが勝手に敷地の中に入ってしまったのが始まり。


そこで、王子様のような男の子

━━━━芭瑠くんと出会った。



そこから、いつでも遊びにおいでと言われて、時間がある時はいつもここに来ていた。

ドラマでしか見たことないような敷地の広さ。
家……というよりはお屋敷のような。


お屋敷に向かうまでには、とても広い庭があって、そこに大きな花壇があった。季節によっていろんな花が咲いていた。