「失礼いたします。源氏の君がお見えになられていますがどうなさいますか」

「通して」

「かしこまりました」





|《六条御息所side》

私の旦那である帝が亡くなり、新しい帝の御代になり、世の中なんて興味がなかった


でも毎日届く着物などの贈り物の品々


全て貰うけれども、私の心は満たされなかった


そんなある日


「ねえ、この深く染められた美しい紅色の着物は、どなたからの…?」


「それは先ほど源氏の君の仕えが持っていらしたものです」


「源氏の君…?」



たしか女房たちがよく話していた…
頭脳や美貌に優れた都一番の男方…



「源氏の君からも届くなんて流石ですわ」
「ええさすがです」


一度ご拝見してみたいものね…






「御息所様、今晩源氏の君がごらんあそばせなさるようですよ」


「え…?」


「ま、まあ!御息所様、御準備をなさいましょう」


まさか今晩だなんて…































「御息所様…」


気品溢れた穏やかな声…
声の質的には…15、6?


「綺麗な庭、お上品な女房たち…さすが御息所様です」


「そう言っていただけて嬉しいわ」


「一目でいい、お姿を見せてはくれませんか?」


源氏の君…


「ふっご冗談を。それで口説いてるおつもりですか

あなたと私は5歳以上離れている、もっとお綺麗な姫君がいるはずです」





バタンガチャン




「ならば試してみますか?わたくしが子供かどうか」


…っ


「なんと無礼な!」


「御息所様、お綺麗です」


「…っ」




本気になんてしてるはずがない


でも


少しでも夢をみてもいいのなら…


「じゃあ試してみようかしら」


「ふっ」





ああ、私はとうとう帝の御子と…




え…泣いている…?




「源氏の君…だれか想い人でもいるのですか?」


「決して好きになってはいけない方を好きになってしまったのです…
手が届かない相手を…っ」



そうなのね…



それなら




「いつでも私の元にいらっしゃい。いつでも慰めてあげます」


「御息所様…」




これぐらいはしてあげないと。


これぐらいは許して。