カランカラン



「惟光」

「なんでございましょう」

「暁の君は元気にすごしておるか」

「ええ、先程仕えが訪れてみたところ元気いっぱいではしゃいでいらっしゃいました」

「そうか。

あの姫君は妹にあたるが、どうしても見放せないのだ」

「お気持ち察します。私も一度ご拝見しましたが、可愛らしい姫君でした」

「よなあ……」








「惟光、車を止めてくれ」


「はい。」



「あの花はなんという花だ?」


「夕顔と言います」


夕顔……綺麗な花だ



「惟光、一房もってこい」

「かしこまりました」


ザッザッザ







「これに乗せて持って行ってください!弱い花ですので…」

「あ、ありがとう」









「源氏の君、どうぞ」

「ありがとう」









なんて綺麗な花なんだ…
これを尼に持って行こうじゃないか














そして尼のお見舞いも行き終わり、御所に戻り、先程貰った扇子に書いてある歌を読んだ




ー心あてにかとぞ見る白露の光そへたる夕顔の花

(夕顔の露に等しい光輝くお顔は源氏の君ではありませんか)ー




なんて可愛らしい歌を詠むのだろうか




ー寄りてこそそれかとも見めたそかれにほのぼの見つる花の夕顔

(もっと近寄って誰か確かめたらよいでしょう。ほのぼのとしてみる夕顔の花を)ー







これを返歌として惟光に頼もうじゃないか。










もちろんこの後この女性と関係を持ったのはいうまでもないでしょう。

この女性を『夕顔』と呼び

源氏物語のヒロインとして現代も読み継がれています