イギリス、ロンドン。ベーカー街221Bにかつて世間を騒がせた探偵の子孫が住んでいる。彼は、先祖の名前をそのまま受け継ぎ、探偵として活躍している。

その名はシャーロック・ホームズ。相棒で医者のジョン・H・ワトソン先生とともに数々の難事件を解決している。

私の名前は胡桃沢和香(くるみざわわか)。二人と訳あって同居している。

これは、そんな私たちの物語……。



「和香、もう一度熱を測ろうか」

診療所が休みの日。私はベッドの上に横になり、ワトソン先生の看病を受けている。昨日の夜から熱を出しているため。

「はい……。すみません」

看護師なのに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。それを察してか、ワトソン先生は私の頭を優しく撫でる。

「気にしなくていいよ。誰だって病気になるんだし。ゆっくり休んでね」

「……はい」

熱は三十八度ある。ワトソン先生から薬をもらい、目を閉じる。熱がある時は眠った方が楽だ。

ワトソン先生は付きっきりで看病してくれている。そばにいてくれることに申し訳なさを感じながらも安心していた。