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ザァーっと激しさを増している雨音。


葵くんと一緒に外に出るとやっぱり雨は降り出していた。


朝は暖かったのに、ワイシャツだけじゃ今は肌寒い。


だけど、先ほどまで繋がれていた手のひらは、葵くんの温もりがまだ残っている。



「なにしてんの?入んなよ。傘ないんでしょ?」



先へ歩き出した私に、葵くんが言う。



「でも……」


「これ以上濡れたら風邪ひくだろ」



葵くんの言う通り、ホントにこれ以上雨に打たれれば風邪をひきそうだ。



「早く」



そう言って、葵くんは私のそばまで来ると傘を広げて中に入れてくれた。


澄みきった青空みたいに優しい色をしたブルーの傘。



「……ったく」



学校から出てしばらく歩いたところで、ようやく葵くんがこちらへと振り返った。