私は1枚の紙きれだった。いつどうやって作られたのかは知らない。木枯らしに吹き飛ばされ変な所に来た。両面そびえ立つビルに圧迫されそうなコンクリート。だが「それは思想かも」しれないね。と、何の気なしに鼓舞したら、コンクリートは書棚に変わり、2枚の書籍カバーが目の前に落ちてきた。芸人さんの文学の力作と難しい政治の話だったので、あったかい気持ちになりながらもスルーした。やがて歩く私はヒトの姿をしていた。トレンチコートをなびかせる男性の姿をしていた。一点に向かって集中して歩いたので進路にあるそれしか見えなかった。メリーゴーランドが見えた。玩具的なそれにみとれ乗るか乗らないか考えていたら「私達は歯槽膿漏なんですよ」と馬が喋った。驚いた私は「馬車もかい?」と聞き返すと「彼等には歯車(車輪)がありますから」きしむのですと馬は答えた。私は一枚の紙きれだった事を思い出し「ヒトしかのれないのでは?」と聞いてみた。そんな不安に「大丈夫」だってキミは「………」だからと、馬が答えた。誰もいないメリーゴーランドが動く。その話しかけてくれた馬に私は乗った。
温かい日なたぼっこの様な空気にさらされ、私はのんびりと回るのを楽しんだ。その「思想乗うろうメリーゴーランド」を