その夜、高倉は、あやめの素敵な笑顔を存分に見た。

「わあ、ありがとうございますっ」

 食後のデザートのときに、いきなり、あやめの好きな店のタルトを運んでいったからだ。

 フルーツがふんだんにのったサクサクのタルトだ。

 そんなあやめの笑顔を見ながら、いえいえ、まだまだ驚くことはありますよ、と高倉は内心、にんまり笑っていた。

 だが、サプライズはひとつだと思わせておいた方がいい。

 高倉は黙って微笑んでいた。

 すると、基が同じタルトを食べながら、
「高倉、ありがとう。
 あやめがあんなに喜ぶとはな。

 俺も嬉しいよ」
と言ってきた。

 なんというお可愛らしいことを、基様っ、と感激した高倉は、基に言う。