そんな願いも虚しく、


気付けば杏の住む、
アパートの駐車場に到着していた。



薄暗い外を見ると、
雨はまだかなり降っているみたい。


「ここで大丈夫?荷物多そうだし手伝うよ」


そう言って広瀬先生は、
車から降りる準備をした。


「…あ、一人で大丈夫です!ここまで送ってもらって本当にありがとうございました」



本当は最後くらい、
少しでも先生と一緒にいたいのに、



そんな気持ちを我慢する、
いつもの私に戻ってしまう。



でも、お礼はちゃんと伝えよう。