ケータイ小説 野いちご

鳥居の道標

参拝




あの日、私は外国人に起こされて目が覚めました。


私がスマートフォンで道を調べた、あの広い場所。


英語でもないその言語を、私は理解出来ず、なんとか身振り手振りで一緒に下山しました。


標様、進む道を教えて下さるとはいっても、少し厳しめにしましたよね?


あの時、すごく大変だったんですから。


でも、おかげで今の私があります。


色々な国の言語を知り、コミュニケーションを取れるようになりたくて、国際系の大学に進学しました。


やっと、何のために勉強をしているか、わかった気がします。


それに、外国人もよく訪れる有名な服屋さんで、アルバイトをするようにもなりました。


標様の喜ぶ顔が忘れられなくて、お客様に素敵な服を着て喜んでもらおうと、日々頑張っています。




来月、私は留学します。


なので、しばらく会いに来ることができないかもしれません。それに、標様との距離も、さらに遠くなってしまいます。


ですが、どうか見守っていてください。


私の選んだこの道を。





私は目を開け、手を下ろし、一礼をした。

強い風が、背後から私を押すように吹き付ける。



『チリン────』


ようやく、あの風鈴の音を心地よく感じる季節がやってきた。




【完】


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