ケータイ小説 野いちご

鳥居の道標

気分

 「寒い……」

 息をすると、生温かい白い煙が目の前に立ち上る。氷のように冷たい風が、全身を突き刺した。

 当たり前だ。こんなに寒い日の朝から外に出るのが悪い。

そうわかっているのに、どうしても私は外に出たかった。というより、自由気ままに一人で出かけたかったんだ。

 肩から下げたカバンの中には、スマートフォンと財布と水筒。これさえあれば、大抵の場所なら、どこへだって行けるだろうと思っていたから。

 フラフラと歩いて行った先には駅があり、私は行き先も決めないまま切符を買った。一番近い駅の値段。もし遠くの駅で降りるのなら、乗り越し精算をすればいいという考えだった。

 今日の目標はただ一つ。それは、その場の気分や直感で行動すること。

 だから、なんとなくこっちかなと思ったホームへ歩き、たまたまやってきた各駅停車に乗車した。

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