俺にピタリと密着してくる氷野は、本当に反則でしかない。

団子ヘアーの氷野はいつもと雰囲気が違って、素直にかわいいと思った。



「……苦しい…」


朝の通学時間帯よりも人が多い満員電車。

あと二駅で祭りの会場である駅に着くため、もう少しの辛抱だ。


けれど氷野は苦しそうにしている。


「大丈夫か?」
「…うん」


俺に身を預ける氷野のうなじが視界に入ってしまい、つい手を伸ばしてしまう。

これはあれだ、男の欲求だと言い訳しながら。