「ごめん、颯斗(はやと)。
あたしと別れて」


高校生活一年目が終わりを告げる3月中旬頃。
誰もいない公園で彼女が静かに別れを切り出した。

中学2年から付き合い始め、気づけば3年目に突入しようとしていた時だった。


正直、別れるだろうなとは思っていた。

度々彼女が他の男と会っているという目撃情報があったからだ。


とはいえ信じたくなかったのもまた事実で。


「好きな男(ひと)ができたの」

彼女の口からはっきりとそれを認められた時、その時点で俺の中の“何か”が切れた。


「そっか。
じゃあそいつと幸せになれよな」

精いっぱいの強がりだった。
ここで責めたところでお互いのためにはならない。


「颯斗…ありがとう。
これからは友達として接してくれると嬉しい」

そんなの無理に決まってるだろ、と心の中で呟きながらも小さな笑みを浮かべてみる。