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旧校舎に着き、昨日と同じ空き教室に入ると、流川先輩と美羽が待っていた。

「ごめんなさい! 遅くなってしまいました…!」

「よかった~~! 小枝私より先に行ったのにいないから、探しに行くところだったよ」

心配してくれていた美羽がほっと胸をなでおろした。
美羽もどうやら今着いたみたい。

そして美羽は先輩たちに聞かれないように私の耳にそっと呟く。

「何もされてない? 黒崎先輩に」

「さ、されるわけないよっ!」

先輩に何かされたらめちゃくちゃ嬉しいですが…!

「ふ~ん…けど小枝、その目泣いたよね…?」

…っ!
やばい、バレている…

本当のことを話してしまうと流川先輩はきっと気にしてしまう。

「さっき転んじゃって…それで弁当落としちゃったんだけど、落ちた玉子焼き黒崎先輩が食べてくれて…う、うまいって…言ってくれたの……」

思い出すとまた涙が出そうになる。

「……そっか。 良かったね」

美羽はそんな私の頭を撫でながら優しく笑った。