朝、あの変な1年に会ってから戻ってきた正人は、やけに機嫌が良くて気持ち悪かった。
何を話してきたのか、まあそれはどうでもいい。
問題は今。
昼になったから購買に行こうとすると…
「買いに行くのはいいけどまだ飯は食べるなよ?
俺が来るまでいつもの場所で食べずに待ってること!」
と正人になんだか気持ち悪いことを言われ、言い返そうとするも、影武者のようにあいつは教室からいなくなっていた。
「はあ~、なんなんだよ。 腹へったし…」
ここは空き教室。
正人の言っていた"いつもの場所"だ。
隣のボロ校舎だからほとんど誰も来ないし、俺にとってはすげー居心地のいい場所。
椅子に座ってボーッとしていると、なぜか朝のアイツが勝手に頭に浮かんできた。
" 好きです! 今日も大好きです! "
入学してからずっとあの調子で告白してくる本当にうるさいヤツ。
ちっさいくせに声はでかい。
毎日挨拶のように言ってくるから余計嘘っぽいし。
「そんな言葉…信じられっか」
俺の目をまっすぐに見るあの1年の小さな姿を頭から消そうと、グシャグシャっと頭をかいた。