"ピーポー、ピーポー"という救急車の音が、意識のない中でも聞こえていたような気がする。


意識が戻ったあとは頭がボーッとしていて、しばらく何も考えられなかった。



ーー『助けられなくて、ごめん…』


何も考えられないのに、頭の中で聞こえてくる声。
誰よりも苦しそうな表情(かお)をして、あの子はそう言ったんだ。


そんな顔をしないで。

私は、助けてもらったんだよ…?


いつかもう一度会えたなら

ちゃんと"ありがとう"を、伝えられますように……ーー