『また連絡するから!』

彼がそう言って別れてから数ヶ月の月日が流れる。
この数ヶ月の間、雪次郎から連絡が入る事は一度だって無かった。

初音は自分から連絡をしようと何度も考えた。
しかし、彼の仕事を半ば強引に奪ってしまった後ろめたさからそれがどうしても出来ない。

雪次郎の事が気になって仕方がない。
今、どこにいて、何をしているのか。
そんな想いは日に日に増していくばかり。

なんだか私の方がユキの事を好きみたいじゃない。

いや、嫌いじゃないけど……

悶々(もんもん)とした日々を送るのもそろそろ限界だ。
初音は仕事の早上がりを利用して、雪次郎が通う花菱美大に行くことに決めた。