ガシャン、ガシャン、と漆黒の鎧に身を包んだ、かつては『英雄』と呼ばれた彼は自分がついさっき滅ぼした国を歩いていた。

ところどころに生き残っている国民たちがボロボロになりながら家族、兄弟、恋人、友人らの名前を叫びながら瓦礫を掻き分けたりしている。

(違う…こんな事するつもりは…僕はただ……)

「僕はただ………なんだ?何をしたかったんだ…?こんな事をしてまで…したかったことって…」

もう元通りになんてなりやしない。きっと【運営】には指名手配なりされて、どの世界線に行っても捕まる。

どうすればいい。追手だって来ている。旧友や知り合い、先輩や後輩。それに……師匠だって。

「もうどうすればいいのかわからないよ…師匠…」