一方その頃、という場面変換によく用いる用語を置いときましょうかね。

わたくし月ノ美兎はひまわりさんたちと分かれてから裏庭に行き、そこからぴょーんと屋上へ飛びました。

え?意味がわからない?まぁ元々この世界線の人間ではありませんし、大丈夫じゃないですか?

屋上へ降り立つとそこには焦げ茶の髪を片サイドに団子にしている乙女が。

「詩子、おまたせしました…って何をしているんです?」

「あ、美兎さん。ちょっとショタ漁りを…」

「相も変わらず…って感じですね…」

彼女は鈴鹿詩子。一見可憐で清楚に見える彼女ですが、蓋を開ければただのショタとBL好きのヲタクさんです。彼女もこの世界線の人ではありませんので、まぁまぁ人外なことをやってのける人です。

「それで?これは一体全体どういうことですか?」

わたくしは空を指さします。つい先程まで快晴だった青空は、まるで絵の具で塗りたくったかのような不気味な赤色に変わってしまっています。

「ええっとですね、多分なんですけど第3世界線の境界が崩壊してこの第4世界線と交わってしまったのではないかと…。あぁそれと、その崩壊の原因が英雄エクス・アルビオの闇堕ちと思われますね」

「えぇ?!あのエビオさんが!?なんで闇落ちなんか…」

エクス・アルビオは第3世界線の魔王を倒したことで英雄となった、ちょっとアホだけど良い方なのですが…

「第3世界線の王が原因らしいんですけど…詳しいことはまだ分からないんですよね、一応かざに調べてもらってはいるんですけど」

ふぅむ、と考え込むわたくし。まぁ第3世界線の王とか私利私欲まみれらしいですし大体想像つきますけど。

「とにかく、剣持さんと叶さんに合流しましょう」

「はい!…あ、それとちーちゃんが応援としてこちらに来てるって連絡が、」

きました、と詩子が言いかけたところで、校門あたりからドォォォォン!!と何かが激しくぶつかる音が。

「ちーちゃん来たっぽいですね!」

「プラス何かを連れてきたっぽいですけどね」