聖夜が何にイラついてるのか、分からない。



私の隣にドカっと座り、飲みかけのお茶を強引に奪いとり、飲みほした。



これって間接キスになるよね。



結局聖夜は、百合ちゃんを追わなかった。



「美莉、俺が言った事聞いてた。」



さっき言ってた事でしょうか。


百合ちゃんは聖夜が好きで、聖夜は百合ちゃんが好きではない。



30才の私には負けないと言った、百合ちゃん。



「百合ちゃんは聖夜の事諦めないって言ってたよね。私と勝負するとか言ってたけど、意味分かんないよ。」



「美莉は俺の話を本当に理解出来た。」



聖夜が何を言いたいのか、分からない。



分かりたくなかった。



「ごめん、聞いてたけど、よく分からなかった。」



《この鈍感女、どんな事してもおまえを落としてみせるぜ。》



「美莉、明日9時に迎えに行くから待ってろよ。」



明日、ああ、聖夜と買い物だったね。



行かないと駄目かな。



なんて聞いたりしたら、多分怒られそうだから、止めとこ。



「9時早いね。起きられるか分かんない。」



「携帯貸せ。俺が明日起こしてやるから。」


聖夜に携帯を渡した。


「以外と優しいんだね。だから女の子にモテるんだ。」



《バカか、俺は好きな女にしか優しくしねぇんだよ。》



今日の聖夜の態度には、調子が狂ってしまう。



だって、優しい聖夜は聖夜らしくないもの。



優しくしないでほしい………