社長から今日の売上結果を知らされて驚いた。



常の売上の10倍。



新店の店長を圭吾くんに任せ、社長は新たな店のオープンと、コンビニの事業を拡大することを発表した。



父さんがこんなにやり手とは思わなかったと言うか、父さんがどんな仕事をしてるのか、知ろうともしなかったのだ。



土日もほとんど家にいない父さんを、どうしても好きになれずに、反抗ばかりしてきたと思う。



兄も姉も父さんを悪くは言わなかった。



私は今迄、父さんの仕事を知ろうともせずに、我儘な事ばかり言って、ずっと甘えていたのだ。



30才になるまで父さんの仕事も知らなかったなんて、本当に情けない。



「美莉、聞いてるか。」



「はい、すみません。聞いてるので続けて下さい。」



「この地域には一人暮らしのお年寄りも多いし、コンビニまで来れない人もいるので、新しい事業として宅配を始める事にした。」



宅配って、家に商品を届ける事だよね。



今でも人手が足りないのに、出来るのだろうか。


しかも、この店をモデルにして最初の宅配事業を始めるのだ。


聖夜が詳しい説明をしてるけど、私は聞いてない。


この新しい事業を提案してのは、聖夜。



もう、驚き過ぎて声もでない。



店長は私なのに、何も聞かされてないのはどうして。



イライラがマックスに。



だけど、社長が店長には先に話してあると言った。



いつ、何処で、誰が私に話したの?


聞いてないよ。