翌日、藍と如月刑事、そして大河は病院の解剖室にいた。目の前の台には村松かけるの遺体が寝かされている。

「午前九時、解剖を始めます」

藍はそう言い、メスを手にする。横を見れば大河が「大丈夫ですよ」と言うように微笑んでいた。

藍は村松かけるの体にゆっくりとメスを入れる。何度も深呼吸をしたおかげか、青磁の死を知る前と変わらず順調に解剖を進めることができた。

「胃の内容物、取り出します」

「心臓の血液量、右が……」

数時間後、解剖が終わり、藍は如月刑事と大河と話す。

「内臓に異常はなかったのか?」

如月刑事の問いに、藍は「腸に手術の痕があったけどそれ以外は特に……。あとは血液や髄液などを調べるわ」と真剣な目で答える。

「霧島さん、お昼ご飯を食べに行きましょう。霧島さんとお話ししたいです」

大河がそう言い、藍も「ええ」と微笑む。大河や如月刑事とこうして会うのは久しぶりで、藍も話したいという気持ちが強くある。