「じゃ、実行委員は坂井と青木で決定な」


「…はい?」

翌日、LHRで体育祭の実行委員を決めることになってたから決めているのだけれど…。


「これって、辞退できますか…?」

「無理だな。くじで決めたんだから、しょーがねぇだろ」


「せんせー、おれ放課後は部活あるんすけど」

教室の後ろの方からそんな声が聞こえて、目を向けると青木くんが手をあげて不満を零こぼていた。

「両立しろ、両立。それか坂井を頼れ、こいつ授業中でも暇そうだからな」

「…暇そうにしてませんけど」

「頼っていいだとさー」

クラス内に笑いがおこる。

なんで先生こんなに私を笑いのネタにするのかね…。
恨みでも買ったっけ?

「青木と坂井は明日の放課後、3年教室で実行委員の集まりがあるから出席しろよー」

「…」

「…」

どちらともスルー。

あの先生、勝手すぎませんか…?



「みーき!実行委員おつかれぃ!」

「れなぁ。ありえない、なんで…」

「うん、どんまい」

LHRがおわって、またいつものように後ろから抱きついてくる玲奈。

「他人事のように…」

「だって他人事だもん」


そ、そうだけど……。

「坂井ー」

呼ばれて振り返ると青木くんが玲奈の後ろに立っていた。

「よろしく」

「うん、こちらこそよろしく」

「ほんと先生なんなんだろーな」

「まあ、誰かがやらなきゃだし。しょうがないよ」

「まぁな」

青木くんはそう言いながら私の前の席に座った。

黒髪にクール系の整った顔。
そのくせに意外とクラスの男子とはっちゃけてるイメージ。
青木くんも柏木先輩と同じでモテる部類に入る。


そういえば、部活あるって言ってたよね…。

「部活なにやってんの?」

「サッカーだよねー。たしかレギュラー入った気がするけど」

青木くんか答える前に玲奈が教えてくれた。

そのルックスに加えて、サッカー部ですか。
さぞかし女の子の黄色い悲鳴を浴びているのでしょうね…。

「そそ、だからさ部活で実行委員の仕事できない日があるんだよね」

「あーね、いつできない日?」

「金曜日以外。休日も午前中部活あるんだけど…」

「りょうかい。明日の集まりは出れる?」

「ああ、それは出る」


それはってなに、それはって…。

他のは出ないってことでよろしいでしょうか…?って嫌味の言葉を飲み込む。


「わかった」

「わりぃな。仕事はちゃんとやるから、なんでも言って」


両手を重ねて申し訳なさそうに謝ってくる。


それを見てイライラしてるのが馬鹿らしくなってきた。

まあ、部活と実行委員じゃ大変か…。


それと比べてどうせ私は暇ですわ。


「蓮司ー!部活行くぞー」

「わり、呼ばれてるから。じゃ、また明日!」

教室の入口から呼ばれた声にガタッと音をたてて立ち上がった。


「部活がんばってねー」


笑ってひらひらと手をふれば、一瞬だけ驚いたような顔をして「おう!」と言ってカバンを片手に教室を出てった。